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プラスチックレンズコーティングの
クラック(ひび割れ)について

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メガネレンズといえば、プラスチックレンズと 認識される時代となりました。一般に、プラスチックレンズは、軽い、破損しにくい、カラーが豊富などの優れた点があることでよく知られています。しかし一方では、ガラスレンズに比べ、キズが付きやすい、クラックが入る等ガラスレンズのコートの強度・耐久性に及ばないところがあります。 今回は、プラスチックレンズのコート層と基材とのギャップにより発生する無数のコート のひび割れ(『クラック』)につきまして、代表的な事例を取り上げ、その特徴を写真とともに解説を加えております。
1.加熱クラック
最も代表的な原因と考えられます。
  一般に、プラスチックレンズは、レンズ素材(基材)の上に、ハードコート、反射防止コート、撥水コート等が施されており、通常の環境下においては、安定しております。しかし、レンズが何らかの原因によって60℃程度以上に加熱されますと、基材とハードコートは余り膨張しませんが、反射防止コート等は膨張するために、その膨張度合に起因するひび割れが生じるものです。
特に、縁つきのフレームの場合は、縁によって、熱が遮られ、枠自身が圧力となるために、全面にわたりクラックが生じることがあり、さらにこの状態が継続した場合は、破損に至ることもあります。

【全体写真】右レンズ凸面から
レンズクラック
【○印拡大写真×50】右レンズ凸面
レンズクラック
【歪計による観察】右レンズ凸面
レンズクラック
ひび割れが無数に発生することが特徴です。加熱の状況やフレームの状態によって、クラックの方向性は様々です。 ほぼ凸面側全面に、加熱を原因とするひび割れが観察されます。 レンズの周辺部が強くゆがんでいます。これは、加熱の影響を受けた特徴です。例えば、炎天下の車中は70〜80℃以上になりますので、短時間でもこのような状態になることがあります。

2.タバコに代表される限定熱クラック
円状の窪みが生じ、その箇所に限定的なひび割れが発生するのが特徴です。タバコなどの先の細い高温の熱源に接触または接近したときに発生するものと考えられます。「1」の加熱によるクラックに較べて、限定的です。

【全体写真】右レンズ凹面から
レンズクラック
【○印拡大写真×100】右レンズ凸面
レンズクラック
【歪計による観察】サンプルテスト品との比較
レンズクラック
小さく円状に窪みを生じるのが特徴です。過去の事例では、拡大観察の結果、二重の円になっているものも見られます。熱源接近に起因するものと推察されるクラックが観察されます。局部的に熱源が接近したことに伴う十字型に近い形状の歪みが観察されます。

3.フレーム応力クラック
(1)肉厚が薄い中央部付近に起こるクラック
原因として考えられるものとして、
(A)フレームカーブがレンズカーブに影響を与えた場合
(B)掛け外しに伴い、テンプルからの応力を繰返し受けた場合などが代表例として考えられます。
(A) フレームカーブの影響を受けたとき、レンズの水平方向のカーブが垂直方向のカーブに較べて強い場合は、レンズが水平方向に湾曲いたしますので、縦方向にクラックが生じます。
(B) メガネの掛け外しに伴い、しばしばテンプルが大きく広げられた時に生じます。天地幅が狭いフレーム、剛性の強いフレームやテンプルの開閉動作が悪いフレームの場合は、特に発生しやすいものと推察されます。

【全体写真】右レンズ凸面から
レンズクラック
【○印拡大写真×50】右レンズ凸面
レンズクラック

中心厚が最も薄い箇所またはその付近に、縦方向に直線的に発生する特徴があります。縦方向に細かいクラックの発生が確認できます。ほぼ中央部を起点として、水平方向に湾曲させるような応力が働いていることが窺われます。

(2)加工穴周辺のクラック
原因といたしましては、ビスの締め付けがきつい場合や穴あけ時の負荷を強すぎた場合が考えられます。この場合、レンズが変形・湾曲しやすいため、はじめに微細なクラックが入り、その後の使用に伴う繰り返しの応力によって、顕在化するケースがあります。過去の事例では、剛性の強い固めのフレームなどで、左右同時に顕在化したケースや、メガネの片手はずしによって片側に応力が集中し、その結果目立つようになったケースが報告されております。

【全体写真】右レンズ凸面から
レンズクラック
【○印拡大写真×100】右レンズ凸面
レンズクラック

取り付け穴の周辺部に、クラックが見られます。穴を中心にして、放射状または円弧状にひび割れが見られます。フレーム固定箇所のビスの締め付けがきつすぎることや、正しいかけはずしがなされていないときに生じます。

4.加工クラック
一般に、プラスチックレンズは、加工の際、中央部に、大きな負荷が加わりますと、機材の樹脂がしなりますが、このときコート層が対応できない場合、ひび割れを生ずることがあります。代表的なものとして、カット加工時に、チャック位置に、放射状のクラックが生ずるものがあります。
特に、レンズを小さな玉型や天地幅の狭い玉型にカットする場合は、より大きな応力を受けやすい傾向があり、このようなクラックに至るケースが見られます。

【全体写真】右レンズ凹面から
レンズクラック
【○印拡大写真×100】右レンズ凸面
レンズクラック

レンズ中央部付近に、放射状にひび割れ箇所が見られます。カット加工の際のチャック位置にほぼ一致しているのが特徴であり、リープカップ跡が確認できるケースもあります。 加工治具により圧力を受けたと推察される箇所に円弧状のクラックがわずかに発生しています。

* 掲載写真は、レンズの状態をご理解いただくための一例です。
資料提供 HOYA株式会社ビジョンケアカンパニー 感謝申し上げます。

 

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